2021-01-01から1年間の記事一覧

はてなブログ・縦書きのサンプル(『幼年時代』書評)

私が紹介した縦書きを実際に適用するとどうなるか、サンプルとして、先日書いた書評と同じ文章を貼っておこうと思います。 * 谷中のほうに"鮫の歯"という古書店があるが、営業時間は「昼頃から夕暮れまで」という。実に素晴らしい精神性である。江戸以前の…

縦書きができたブログ:g.o.a.tのサービス終了

www.goat.at 前に使っていたブログサービスからサービス終了のお知らせが届きました。ちょっとショックです。 というのも、こんな感じ↓で、縦書きが公式に使える、貴重なブログサービスだったのです。 official-jp.goat.me 簡単にポチッと縦書きができ、Word…

「意識的または無意識的に」~"Aまたはnot A"の表現~

意識的または無意識的に 「Aまたはnot A」とはつまり"全部"ということなのですが、こういう言い回しが必要になることがままあります。 私がたまに使うのは、「意識的または無意識的に」です。 (A)彼は、高校までで学ぶ程度の漢字は、既に小学生の時点で、…

メモ:全体集合と「~のほかに」

「ほかに」と「が/も」 先日、少し疑問に思って、次のような構文を考えました。 「Pには、p1のほかに、p2がある」 「Pには、p1のほかに、p2もある」 「Pには、p1,p2のほかに、p3がある」 「Pには、p1,p2のほかに、p3もある」 これらは本来、p1,p2,p3がPとい…

第三回予想問題 国語(文科現文)

第 四 問 次の文章は、堀辰雄の『窓』の全文である。これを読んで、次の問に答えよ。 或る秋の午後、私は、小さな沼がそれを町から完全に隔離してゐる、O夫人の別莊を訪れたのであつた。 その別莊に達するには、沼のまはりを迂囘してゐる一本の小徑によるほ…

第二回予想問題 国語(漢文)

第 三 問 注 設 問 問題文(画像) 補遺 第 三 問 次の詩は、北宋の欧陽脩(一〇〇七ー一〇七二)の作とされる詩である。これを読んで、次の問に答えよ。(訓点省略してあります。画像を参照してください) 日本刀歌昆夷道遠不復通 世伝切玉誰能窮宝刀近出日…

第一回予想問題 国語(古文)

第二問 設 問 問題文(画像) 単語リスト 補遺 問題文の画像は下部にあります。画像では都合上ア~キの記号を略しています。 第二問 次の文章は『とはずがたり』の一節である。作者は大納言の娘で幼い時から後深草院の御所に出入りし可愛がられていたが、あ…

現代かなづかいクイズ

現代かなづかいクイズを作ってみました! 「お」と「う」、「じ」と「ぢ」など、正しく判定できますか? ぜひチャレンジしてみて下さい!

書評:室生犀星『幼年時代』

書名:『或る少女の死まで 他二篇』より『幼年時代』 著者:室生犀星 発行:岩波文庫 元はと言えば読書のメモを取るために始めたはずのブログだったのですが、是迄一度も新規の書評をすることがありませんでした。今後は簡単につけて行こうと思います。 * …

第四回予想問題 世界史

Y君と共同作問です。 世 界 史 第一問 以下の資料はトルストイ(1828-1910)が新聞に投稿した記事である。以下の文を読み、問いに答えよ。 戦争はまたも起こってしまった。誰にも無用で無益な困難が再来し、偽り、欺きが横行し、そして人類の愚かさ、残忍さを…

都バスから見る東京の地形:茶51(秋葉原駅―駒込駅)

前回上60系統をご紹介したとき、上60が低地を、都02が台地を走るバスなのだ、と書いた。都02は本郷台を乗り越えて、春日駅前から富坂という坂を登ると、あとは小石川台を終点まで駆け抜ける系統であった。 都02のルート概要 一方で、本郷台を走る系統はない…

「読ます」? 「読ませる」? と悩んだときのために ~使役-(a)seruと-asu型本動詞を区別しよう~

「読まして」か「読ませて」か 日本語のイ音とエ音の区別は、よく交代します。たとえば、広く全国的に、「見せて」を「見して」ということがありますが、動詞の活用表を見てみれば「見せる」の派生で「し」は本来出てきません。これは、発音上の問題で、セか…

「取り付く島(✕暇)もない」はアクセントが原因ではないか

ふと思いついたのでメモしておきます。 「取り付く島もない」という言葉は読者諸賢ならご存知の通りよく「取り付く暇もない」と誤用されます。以前の記事でも書いたように私は誤用々々と騒ぎたくないのですが、歴史的正当性は「島」に軍配が上がります。 シ…

キャッサバ/タロイモ/ヤムイモの単簡な区別法

地理を履修すると、ナイジェリアが生産一位の作物としてキャッサバ/ヤムイモ/タロイモなどを知ることになりますが、その区別はつかず、「なんかアフリカでよく食べる芋でしょ?」程度の認識に終始しがちです。 実際の定期試験などでどこまで役立つかはさてお…

非文記号のほかに「文意が通じない記号」がほしい

非文とは 非文判定が甘い、と思う場面がちらちらあります。 非文を見て「これ文脈によっては成り立つだろ」と思う場面はあっても、正文を見て「いやこれどんな文脈でも非文だろ」と思う場面は滅多にありません。 「非文」とは、「文法的に成立しない文」です…

「抹茶ラテ」にコーヒーは入っているか

抹茶ラテブーム到来 空前の抹茶ラテブームである。綾鷹カフェなる商品が発売されると、一時あちこちで在庫切れになるという騒ぎが起きた。後発で、クラフトボス抹茶ラテも発売された。 コカ・コーラ 綾鷹カフェ抹茶ラテ440mlPET ×24本 綾鷹 Amazon サントリ…

「どこでもドア」がドアである必要

いつでも どこでも どこにでも ふと化粧水の広告が目に止まった。そこにはこう書いてあった。 「いつでも どこでも どこにでも」 つまりは万能な商品だということをアピールしたいのだろう。どんな時、どんな場所においてでも、また体のどの部位にでも使える…

都バスから見る東京の地形:上60(大塚駅―上野公園)

春日駅前と都バス 都内には何箇所か、都営バスが大量に走る場所がある。一路線の本数が多い六本木通りや王子、葛西なども見どころだが、山手線内において、山手線の駅以外で特に都バスが集まるのが(市谷仲之町交差点や早稲田も捨てがたいが)、春日駅前だと…

"最新"という意味の「最後」

英語を読んでいたら、こんな文を見ました "The last time I visited Japan," 用意されていた和訳は、「私が最後に日本を訪れたとき」でした。 しかし、これって誤訳と言われてもおかしくないレベルではないでしょうか? 別に文脈上、「病気でもう動けなくな…

付読点法の検討-0 「くぎり符号の使ひ方」を読む

句読点法のうごき 前回、読点の付け方について、文法的に一定の規則に基づいた一種のガイドラインを作ることで、書くことの助けとしたいと述べました。実は、読点の規則について考えたのは何も私が最初ではありません。 戦後、国語改革真っ只中の日本におい…

付読点法の検討-1 重文・並列(等位接続)

付読点法を作りたい かねてよりやりたいと思っていたのが、読点のふり方についてある程度のガイドラインを設けることです。自分の頭の中ではぼんやりとした規則が存在するのですが、しかし付読点法の悪さ故の読みづらい文章に対して、斯く直すべしと提示する…

第三回予想問題 世界史

世 界 史 第 一 問 2021年、アラブの春と呼ばれる一連の民主化運動の発生から十年の節目を迎えた。もともと数十年にわたる長期独裁政権が支配していたこの地域では、民主化が成功した国も失敗した国も、十年経ってなお政治的・社会的混乱が続いている。イラ…

「寄す」+「ふ」+「ふ」=「よそほふ」かも?

上代語で助動詞の「ふ」というのがありまして、継続や反復を表すのですが、現代語にもその名残はあって、「語らう」とか「住まう」「向かう」なんていうのは元々「語る」「住む」「向く」に「ふ」がついてできた言葉だったんですね。 古文でよく扱われる平安…

「もとのもくあみ」を知っていますか

知っていますか? 「もとのもくあみ」という言葉があります。自分は、特にどこで知ったということもなく、親や祖父母が使っていたために、特に意味も知らずに使っていました。概ね、「元サヤ(元の鞘に収まる)」と言った意味でしょうか*1 むしろ私は元サヤ…

はてなブログでとりあえず縦書きしてみる

インターネット技術は進化したのに、我々は未だに文章を横書きで読む苦痛(?)を強いられています。私がはてなブログ上で無理やり縦書きをしたので、軽くご紹介します。 注意 あくまで突貫工事で、挙げ句PCやタブレットなどを何も考慮していないのですが、…

「話」と「話し」という致命的欠陥-2 ~積み重なる例外~

kanchoiki.hatenablog.com 前回のあらすじ 「話した」がハナシタとハナシシタの両方で読めてしまう 連用形は、音便形(-て に接続)と基本形(-ます に接続)がある サ行は音便がない 名詞を作る連用形 さて、今回は「話」が名詞になる原理から話していきま…

「推しを推す」は重複表現か?

「頭痛が痛い」とか「馬から落馬する」のような言葉を「重言」(じゅうげん/じゅうごん)と言います。例などは下のWikipediaの記事を参照していただければと思うのですが、とかく人は重複表現と思しきものに厳しすぎるきらいがあります。 ja.wikipedia.org …

「話」と「話し」という致命的欠陥-1 ~便利な音便形~

「話した」 これ、なんと読みますか? ハナシタ、でしょうか? ハナシシタ、と読んだ人もいるかもしれません。 実は両方とも正解です。文脈がないので、未だどちらかわかりません。 たとえば「昨日の件について先生に話した」ならハナシタですし、くだけた言…

間接受身文:「中村に村山に山田に田中に手紙を渡されたと……」

こんにちは。趣味は文法的に正しいのに難解な文を作ることです。十分ほど悩んで、こんな文を作ってみました。 例文 中村に村山に山田に田中に手紙を渡されたと話したと明かした。 これは間接受身というのが軸になった文です。どういう意味かわかりますか? …

漢文が読みたい~センター2019本試~

白文を訓読して読めるようになりたいな、とふと思ったのですよね。 そんなわけで、最近はこんなサイトなどを読んでいます。 www.seiwatei.net 白文に訓点を付すのはパズルっぽくて面白いのですが、手当り次第にやっても解釈違いを起こしてしまうかもしれませ…