非文記号のほかに「文意が通じない記号」がほしい
非文とは
非文判定が甘い、と思う場面がちらちらあります。
非文を見て「これ文脈によっては成り立つだろ」と思う場面はあっても、正文を見て「いやこれどんな文脈でも非文だろ」と思う場面は滅多にありません。
「非文」とは、「文法的に成立しない文」です。
たとえば、「勉強しながらコーヒーを飲んだ」という意味で、次の文があったとします。
- 勉強していながらコーヒーを飲んだ
本来動作の並列を表す「~ながら」の前には、「~ている」の形は使えません。では、文法的に誤りだから非文……かというと、そうでもありません。
辞書を引けばわかりますが、「ながら」には逆接で「そうではあるが」という意味もあります。そのときは、「~ている」に続けることができるのです。少しニュアンスは変わりますが、「勉強しているにもかかわらず、」と同様の意味になるのです。ゆえに、正文です。
文脈を限定した記号がほしい
ただ、このシステムでは不便なことも多いように思います。本当は「こう変えると文意が伝わらなくなるよ」と示したいのに、変えたあとの文が特殊な状況で成り立つことがあると、非常に厄介です。しかも、言語を扱う人間は非文記号を一つ付すためだけに、非現実的なものも含めてあらゆる例外を考えなければなりません。
もし発話意図と例えば真逆の意味になってしまうが、文法的には別の意味で正文として成立しうる文があったとして、それを「狙った意味としては非成立だよ~」と優しく指摘できる記号があったほうが良いのではないでしょうか(すでにあるのかな)。
具体例を見てみましょう。たとえば、
- ラジオを聞きながら勉強した
- ラジオを聞いていながら勉強した
- ラジオを聞きながらも勉強した
- ラジオを聞いていながらも勉強した
という例文があったとします。このとき、文脈によって使えるものは異なります。
- 聞きつつ~の意味:①○ ②✕ ③✕ ④✕
- 聞いているにもかかわらず~の意味:①△ ②△ ③○ ④○
- テレビを見つつも勉強したし、ラジオを聞きつつも~という意味:①✕ ②✕ ③○ ④✕
たとえば、「聞きつつ」の文脈だけを考えるとき、もし非文記号が使えると、
- ラジオを聞きながら(*も)勉強した(←これは誤った記号の使用例です)
と書くだけで、ここに「も」があると非文だよ、と指摘できるのです。
しかし、現状で非文記号はあらゆる文脈において非文の場合しか使えないので、こうした簡潔明瞭な記法はできません。難しいですね。
本当にもやもやするなあ
— 驟雨 Ŝuu (@mukimuki_mattyo) 2021年7月29日
これ「聞きつつ勉強した」のような意味で発話したなら成立していないが、「聞いているにもかかわらず勉強した」の意味だとしたらど真ん中の正文ですよね
こういった特定の条件下や意味によっては成立しうる文を非文として扱っていいものか、と https://t.co/fh4LylY92Z