日本語文法

「~のだ」形が要請される状況について

韓国朝鮮語の勉強をしていると、次のような例文がありました。 T:서점에서 무슨 책을 삽니까?(書店で 何の 本を 買いますか?)Y:역사 책을 삽니다. 리포트를 씁니다.(歴史(の) 本を 買います。レポートを 書きます。) 上の直訳の文章でも十分に文意は…

「読ます」? 「読ませる」? と悩んだときのために ~使役-(a)seruと-asu型本動詞を区別しよう~

「読まして」か「読ませて」か 日本語のイ音とエ音の区別は、よく交代します。たとえば、広く全国的に、「見せて」を「見して」ということがありますが、動詞の活用表を見てみれば「見せる」の派生で「し」は本来出てきません。これは、発音上の問題で、セか…

非文記号のほかに「文意が通じない記号」がほしい

非文とは 非文判定が甘い、と思う場面がちらちらあります。 非文を見て「これ文脈によっては成り立つだろ」と思う場面はあっても、正文を見て「いやこれどんな文脈でも非文だろ」と思う場面は滅多にありません。 「非文」とは、「文法的に成立しない文」です…

「話」と「話し」という致命的欠陥-2 ~積み重なる例外~

kanchoiki.hatenablog.com 前回のあらすじ 「話した」がハナシタとハナシシタの両方で読めてしまう 連用形は、音便形(-て に接続)と基本形(-ます に接続)がある サ行は音便がない 名詞を作る連用形 さて、今回は「話」が名詞になる原理から話していきま…

「推しを推す」は重複表現か?

「頭痛が痛い」とか「馬から落馬する」のような言葉を「重言」(じゅうげん/じゅうごん)と言います。例などは下のWikipediaの記事を参照していただければと思うのですが、とかく人は重複表現と思しきものに厳しすぎるきらいがあります。 ja.wikipedia.org …

「話」と「話し」という致命的欠陥-1 ~便利な音便形~

「話した」 これ、なんと読みますか? ハナシタ、でしょうか? ハナシシタ、と読んだ人もいるかもしれません。 実は両方とも正解です。文脈がないので、未だどちらかわかりません。 たとえば「昨日の件について先生に話した」ならハナシタですし、くだけた言…

間接受身文:「中村に村山に山田に田中に手紙を渡されたと……」

こんにちは。趣味は文法的に正しいのに難解な文を作ることです。十分ほど悩んで、こんな文を作ってみました。 例文 中村に村山に山田に田中に手紙を渡されたと話したと明かした。 これは間接受身というのが軸になった文です。どういう意味かわかりますか? …

日本語不規則動詞を考える【動詞接続形試案-3】

前回に引き続き、不規則動詞を考えてみる。 前回までのまとめ 動詞の分類案 子音語幹動詞(例:「読む」) 語幹:yom- yom-a-nai / yom-i-masu / yom-u(-koto) / yom-eba / yom-e 母音語幹動詞(例:「食べる」) 語幹:tabe- tabe-nai / tabe-masu / tabe-r…

動詞語尾の接続を二分して考える【動詞接続形試案-2】

前回は推量の「う」を語幹接続という扱いにし、旧来の活用表をすっきりさせた。 kanchoiki.hatenablog.com さてその記事中で、次のような動詞語尾の接続一覧を示した(所謂「活用表」である)。 子音語幹動詞(例:「読む」) 語幹:yom- yom-a-nai / yom-i-…

推量「う」を語幹接続だと考えてみる【動詞接続形試案-1】

書こう書こうと思って触れていなかったのが格助詞の話と動詞の「活用」の話なのだが、ついに日本語の動詞について、少々思いついたことがあったので走り書き程度に記そうと思う。 子音語幹・母音語幹・不規則 まず、日本語の動詞は「活用」ではなくて、接辞…