「寄す」+「ふ」+「ふ」=「よそほふ」かも?

上代語で助動詞の「ふ」というのがありまして、継続や反復を表すのですが、現代語にもその名残はあって、「語らう」とか「住まう」「向かう」なんていうのは元々「語る」「住む」「向く」に「ふ」がついてできた言葉だったんですね。

古文でよく扱われる平安時代にはすでに「ふ」が単独としては生き残っていないそうなのですが、しかし「語る」と「語らふ」の訳し分けなどで少々悩んだので、辞書を引いてみると、面白いことが色々見つかりました。

ふ(助動ハ四型)

①動作の反復の意を表す。②動作の継続の意を表す。

[接続]四段動詞の未然形に付く。

[語法](中略)四段型に活用せず、下二段型に活用した例、下二段活用に付いた例もある。下二段動詞に付いた場合、四段動詞と同様に動詞の語尾はア段の音になる。

よそふ【装ふ】(他ハ四)

①取り揃える。②飾る。③器に飲食物を盛る。

よそ-ふ【寄そふ・比ふ】(他ハ下二)

[組成]四段動詞「寄す」の未然形+上代の反復・継続の助動詞「ふ」=「よさふ」の転。一説に、「寄し添ふ」の転とも。

①ことよせる。かこつける。②たとえる。なぞらえる

よそほふ【装ふ】(他ハ四)

[組成]四段動詞「装ふ」の未然形+上代の反復・継続の助動詞「ふ」=「よそはふ」の転→よそふ(装ふ)。

(『旺文社古語辞典 第十版』)

 パッと見ると、「寄す」+「ふ」=「装ふ」、「装ふ」+「ふ」=「よそほふ」かと思われるのですが、どうしてか四段の「よそふ」の方には何も書いてありません。代わりに下二段の方に書いてあるのですね。不思議。

でも、一番上の「ふ」の[語法]を参照すると、もやもやの正体がわかります(一方で、もやもやは更に深まります)。

 

正直このへんには全然詳しくないし我が家には比べる辞書もないので、今日は旺文社の辞書の引用を並べるに留めておきます。

 

↓こんなサイトも見つけました あくまで見つけたというまでですが。

www.wagozitenn.com

 

追記(2021.6.26)

『角川古語大辞典』『日本国語大辞典 第二版』参照しましたが、「装ふ(よそう)」と「寄す」の関連について指摘している記述は見つかりませんでした。「寄そふ/比ふ」の方には上の旺文社古語辞典同様、何らかの関連が指摘されていました。