メモ:全体集合と「~のほかに」

「ほかに」と「が/も」

先日、少し疑問に思って、次のような構文を考えました。

「Pには、p1のほかに、p2がある」

「Pには、p1のほかに、p2もある」

「Pには、p1,p2のほかに、p3がある」

「Pには、p1,p2のほかに、p3もある」

これらは本来、p1,p2,p3がPという集合に属することしか意味していないので、Pの中にp1-p3以外のものが含まれていても何ら問題はないはずです。しかし、Pの全てがp1-p3であることが要求される場合もあるような気がします。

たとえば、「このクレヨンには、赤、黄のほかに緑がある」と言われたら、「じゃあ青はないのか……」という受け取り方になるのが順当なはずです。もっと極端な例では、「虹には、赤・橙・黄・緑・青のほかに藍がある」というのは限りなく偽の文に近いのではないでしょうか。明らかに紫を忘れているか、あるいは隠しているからです。

条件を考える

うーん、この構文は難しいですね。

では、一般に「AはBのほかにCがある」という文章は、どのような条件下で全要素の列挙になり、またどのような条件下で代表例の例示になるのでしょうか。考えてみましょう。

A,B,Cのそれぞれについて考えうる条件としては、例えば次のようなものがあります。

  • Pの要素が有限か無限か*1
  • Bで挙げられる例が一つか、複数個か
  • (学問的・法的になど)定義されていて絶対的なものか、話者の主観によるものか

今後機会があったら、この問題についてはよく調査してみたいと思います。

参考:アンケート

参考までに、以下に以前とった簡単なアンケートを貼っておきます。

 

*1:無限であれば、「全要素の列挙」はありえないので、「代表例の列挙」になるか、非文かという問題になります