第二回予想問題 国語(漢文)

第 三 問

次の詩は、北宋の欧陽脩(一〇〇七ー一〇七二)の作とされる詩である。これを読んで、次の問に答えよ。(訓点省略してあります。画像を参照してください)


  日本刀歌
昆夷道遠不復通 世伝切玉誰能窮
宝刀近出日本国 越賈得之滄海東
魚皮装貼香木鞘 黃白間雑鍮与銅
百金伝入好事手 佩服可以禳妖凶
伝聞其国居大島 土壌沃饒風俗好
其先徐福詐秦民 採薬淹留丱童老
百工五種与之居 至今器玩皆精巧
朝貢献屡往来 士人往往工詞藻
徐福行時書未焚 逸書百篇今尚存
令厳不許伝中国 挙世無人識古文
先王大典蔵夷貊 蒼波浩蕩無通津
令人感激坐流涕 繡渋短刀何足云

岩波文庫『中国名詩選【下】』による)

○昆夷——古代、中国西北に居住した異民族。

○切玉——硬い玉でも切るということ。『列子』湯文篇に、周の穆王が西戎を制したときに献じられた剣について「用之切玉如切泥焉」とある。

○越賈——越の商人。  

○鍮——真鍮。 

○妖凶——魔物、邪悪な人。

○佩服——身に付ける。

○淹留——長く留まること。

○丱童——童子
○徐福——始皇帝(前二五九ー前二一〇)の命で東海へと旅立ったとされ、一説には日本へたどり着いたともされる。  

○百工五種——各種の工芸職人と五穀。

○器玩——愛玩品。鑑賞するもの。

○前朝——唐王朝(六一八ー九〇七)。

○書未焚——始皇帝による焚書儒家などの書物の焼却)が行われる前であったということ。

○古文——始皇帝の文字統一以前に使われていた書体。

○夷貊——東方の異民族。日本のこと。

○浩蕩——広々として大きい。

○通律——各地へとつながる港。

○繍渋——錆びついて切れない。

設 問

㈠傍線部a・b・cを現代語訳せよ。

㈡「前朝貢献屡往来」(傍線部d)を、平易な現代語に訳せ。

㈢「拳世無人識古文」(傍線部e)とあるが、それはなぜか、説明せよ。

㈣「令人感激坐流涕」(傍線部f)とあるが、何がそうさせたのか、説明せよ。

問題文(画像)

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補遺

国史の知識があるほうが多少有利に働くでしょう。傍線部aが初っ端から難しいように感じますが、これは外しても仕方ないのかなと思います。傍線部bは、詩であるゆえに返り点が振られていない(好事の手"に"…です)ことに気づけば大丈夫でしょう。

説明問題は文章の本筋の部分しか聞いていないので、文脈がなんとなくわかれば解けるのではないでしょうか。

旧字は新字に直されて出題されることが多いので、気がついたものは新字に直しました。返り点は自分でつけました。返り点や送り仮名を振るのが最高に面倒でした。余程のことでもない限りもうやりたくない経験です。

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毎度のことですが稚拙な部分についてはご容赦ください。誤りについてはご連絡いただけると幸いです。